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vol.21 骨粗鬆症と薬
 


目次  1、骨粗鬆症とは?
   2、骨代謝
   3、骨粗鬆症のタイプ
   4、骨粗鬆症治療薬
   5、骨粗鬆症と食事
   6、骨折予防
 
 

 

 

  (1) 骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは?
骨量(骨の量)が減少するとともに、骨の内部の構造が粗く、スカスカの状態となり、全身の骨が弱って骨折しやすい状態になる病気です。更年期以降の女性に多く、高齢になると男性にも増えてきます。
 
放っておくと?
自覚症状がすぐに現れるわけではありませんが、もろくなった骨はちょっとしたことで骨折するようになります。骨折する部位、例えば、足・手首や腕などを骨折すると日常生活に支障をきたします。さらに、高齢者にとって、足の付け根の骨折は、歩けなくなり、寝たきりへのきっかけとなることも少なくありません。
 
QOL(生活の質)の低下
高齢者の骨折により、生活の自立が低下し、介護が必要になるケースが多く見受けられます。骨折した本人がつらい思いをするばかりではなく、治療や介護の過程で、家族にもいろいろな負担がかかることが容易に想像されます。
 
予防法は?
「骨粗鬆症対策」として、【食事】【運動】【適度な日光浴】を日常生活に取り入れ、これらの生活療法を行ったうえで、薬物療法を行います。更に、骨折をしないように「転倒をしない予防対策」も必要になってきます。
 
カルシウムとビタミンD
カルシウムは、少なくとも1日600mgです。さらに、カルシウムが必要な人は、1,000mg〜1,500mgのカルシウムを摂るように心掛けてください。腸におけるカルシウムの吸収には、ビタミンDが必要不可決です。このビタミンは、皮膚の中で日光の紫外線に当たって、初めて働くことができます(活性型ビタミンD)。そのため、日光に当たらないとうまくカルシウムの吸収ができません。日常生活で、適度な日光浴と運動も必要です。
 
喫煙とストレスは天敵
カルシウムは、腸で吸収されます。喫煙やストレスなどは、カルシウムの吸収を妨 げるので注意が必要です。禁煙やストレスをためない工夫が必要です。
   
 
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  (2) 骨代謝

 

 

骨代謝
骨は、強さとしなやかさを保つために、絶えず古い骨が壊され(骨吸収)、新しい骨が作られています(骨形成)。このような破壊と再生を【骨代謝】といいます。この新陳代謝は、【骨吸収】と【骨形成】、【休止期】を繰り返しています。
 
骨吸収
骨が古くなると、そこに「破骨細胞」が集まってきて、古くなった骨をたんぱく質や強い酸で溶かし、破壊していきます。これを【骨吸収】といいます。
 
骨形成
破骨細胞が溶かした部分に、「骨芽細胞」が新しい骨を作って修復し、新しい骨に再生します。これを【骨形成】といいます。
 
休止期
新しい骨が再生されると、休止期に入ります。一定期間を経て、また、骨吸収と骨形成が繰り返されます。
   
 
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  (3) 骨粗鬆症のタイプ

 

 

高回転型
骨形成は活発に行われていますが、骨吸収がそれを上回るため、骨量が減少してしまいます。主に、閉経後の女性に多く見られるタイプです。
 
低回転型
骨吸収も骨形成も低下していて、特に、骨形成がより低下しているために、骨量が減るものです。新陳代謝が低下している高齢者に多く見られるタイプです。
 
   
 
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  (4) 骨粗鬆症治療薬
 
高回転型
●カルシトニン製剤
甲状腺から分泌されるホルモンの一種です。骨から血中へのカルシウムの放出をおさえて、血中から骨へのカルシウムの取り込みを促進させます。骨粗鬆症で腰や背中が痛む人など向く薬です。週に1〜2回通院して、筋肉注射をうけます。
【注射剤】エルカトニン
【注射剤】サイカルシトニン
 
●ビスフォスフォネート製剤
骨からカルシウムの吸収を強力に抑えて、骨の破壊を抑える作用があり骨量を増やす効果が最も確実な薬といえます。また、この製剤は食物により吸収が低下するため空腹時に飲む必要があり、少し特殊な飲み方をするのが特徴です。
【内服薬】リセドロン酸ナトリウム水和物(アクトネル)
【内服薬】エチドロン酸二ナトリウム(ダイドロネル)
【内服薬】アレンドロン酸ナトリウム水和物(ボナロン)
 
●エストロゲン製剤
女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)は、骨代謝のコントロールに関与しており、エストロゲンが激減すると骨代謝に影響が出て骨の破壊が進みます。よってこの薬は、閉経後に骨量が急激に減少した女性を中心に投与される薬です。 エストロゲン製剤は飲み薬の他、皮膚に貼って用いる薬もあります。
【貼付剤】エストラジオール(エストラダーム0.72mg)
【内服薬】結合型エストロゲン(プレマリン)
 
●SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)
骨量を増やす効果は高いものの、乳がんの発生率を上げてしまうというエストロゲン製剤の問題を解決した最近日本でも使用できるようになった薬で、骨に対してエストロゲン製剤と同様に骨のカルシウムの吸収抑える薬です。
【内服薬】ラロキシフェン(エビスタ)
 
●イソフラボン誘導体
骨からカルシウムの吸収を抑制する働きを持ちますが、作用の仕組みはよく分かっていません。穏やかな薬で副作用もほとんどない薬です。
【内服薬】イプリフラボン(オステン) 
 
低回転型
●ビタミンK2製剤
ビタミンKには骨にカルシウムが沈着するのを助ける働きがあり、骨粗鬆症の治療薬の中でも骨量の増加は期待できませんが、骨の形成時の骨質の改善に役立つ薬です。
【内服薬】メナテトレノン(グラケー) 
 
●タンパク同化ステロイド製剤
骨の形成(カルシウム、リンの貯蔵作用)を促進する作用があります。しかし、副作用で肝機能障害を起こしやすく、また含まれる男性ホルモンにより多毛、脱毛などが起こることがあります。
【内服薬】メテノロン(プリモボラン)
 
両タイプ
●カルシウム製剤
十分量のカルシウムを食事だけで摂取するのは、難しいのでこの製剤を用います。骨粗鬆症の薬物治療の基本となる薬ですが、この薬だけではなかなか骨が強くならないので他の薬と併用します。(通常、活性型ビタミンD3製剤との併用が行なわれています。)
【内服薬】L-アスパラギン酸カルシウム(アスパラCA)
 
●活性型ビタミンD3製剤
ビタミンD3はカルシウムの吸収を助ける働きを持ち、骨を強くするのに重要な栄養素です。食品から取り入れるほか、日光に当たると体内でも合成されますが、ビタミンD3は肝臓と腎臓で活性化されないと骨に作用することができません。そこで活性化されたビタミンD3を体内から補充しようというのがこの製剤です。骨量を積極的に増やす効果はありませんが、骨量の減少を防止する目的で使用され、消化吸収機能や腎機能の低下からビタミンDの吸収や活性化の効果が悪くなる高齢者に向く薬です。
【内服薬】アルファカルシドール(アルファロール)
【内服薬】カルシトリオール(ロカルトロール)
   
 
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  (5) 骨粗鬆症と食事
 
骨粗鬆症を予防するためや、治していくためだけでなく、私達が健康な生活を送るのには、栄養バランスのとれた食事をすることが大切です。 日々の生活のなかで、食事はとても大切な事です。 そんな大切な事だからこそ、無理をせず、楽しく、おいしく食べたいですね。特別な料理をつくらなくても、いつもの食事に少し工夫をするだけでも、バランスのとれた食事ができるのです。毎日の食事を少し見直してみてはいかがでしょうか。
 
必要な栄養素
骨にとって大切な栄養素はもちろんカルシウムですが、カルシウムは、吸収されにくい栄養素のため、吸収を助けてくれるマグネシウムや、ビタミンDを摂取することが大切です。ビタミンDは特にカルシウムの吸収を助けます。魚類やきのこ類に多く含まれますが、日光に当たることも大切です。血液中のビタミンDの多くは、日光に当たることにより、皮膚からつくられるからです。カルシウムは牛乳をはじめとする乳製品に多く含まれます。これらは、吸収にも優れています。また豆腐や納豆などの大豆製品、骨ごと食べられる小魚、ひじき、わかめ等の海藻類、小松菜やチンゲン菜等の緑黄色野菜も重要なカルシウム源です。
 
食事ポイント
  1. カルシウムを積極的に取りましょう。
  2. たんぱく質は適量を心がけましょう。
  3. ビタミンDを摂取しましょう。(腸でのカルシウムの吸収に必要)
  4. 食物繊維、リンの過剰摂取は控えましょう。(腸でのカルシウムの吸収を減らすため)
  5. アルコールは控えましょう。(腸でのカルシウムの吸収を減らし、更にカルシウムの尿への排泄を促進するため)
  6. カフェインは控えましょう。(カルシウムの尿への排泄を促進するため)
  7. 塩分や糖分の過剰摂取は控えましょう。(カルシウムの尿への排泄を促進するため)
   
 
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  (6) 骨折予防
 
骨粗鬆症のある方(特に高齢者)はささいな衝撃で骨折しまう事があります。その原因の主なものに「転倒」があります。「転倒予防」には根気よく運動を継続し筋力を強化する事が大切です。又、住み慣れた住宅の何処に危険が潜んでいるのかを見直し改善しましょう。
 
【転倒・骨折を防ぐ】
膝や足に痛みがある人 とっさの時に踏ん張りがきかず、転倒してしまう恐れがあります。
手足の麻痺や歩行困難がある人 足はもちろんですが、転びかけた時に物につかまる事ができないので、手の麻痺も転倒につながる可能性があります。
めまいを起こしやすい人 めまいが転倒につながります。
眠くなりやすい薬や血圧の薬などを服用している人 とっさの時の動きが鈍くなりやすく、転倒する場合があります。
血圧の下がる薬の場合はめまいなどから転倒する恐れがあります。
視力が弱い人 足元が見えにくい、また、薄暗い所で見えにくい方は段差や障害物につまずく事があります。
耳の遠い人 車のクラクションや自転車などに気づかずぶつかり転倒する可能性があります。
 
このような問題を抱えている方は、以下のような点に心掛けてください。
  1. 痛いところは治療する。
  2. 視力にあった眼鏡などを使う。
  3. 杖を使うようにする。
  4. 動きやすい服装を心がける。
  5. 靴は運動靴を履く。
【住環境の改善】
  1. 階段には手すりをつけ、最上段と最下段には目印のテープを貼る。
  2. 敷居などの段差にはスロープをつける。
  3. トイレ、浴室にも手すりをつけ、スロープや「すのこ」などでできるだけ段差をなくす。
  4. 電気のコード、座布団、新聞、本などにつまずいたりしないよう、家の中を片付ける。
  5. 着物やすその長い服を着たときは、足元に特に注意する。
  6. サンダルやぞうり、下駄などはつまずきやすいので特に気をつける。
お年寄りの転倒の多くは家の中で起こっています。しかしそう簡単に家を改築するわけにもいきませんので、問題なく過ごすことのできた住宅であっても、年をとって運動機能が低下すると、転倒しやすい危険な空間へと変わることがありますので注意しましょう。
   
 
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