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vol.27 睡眠
目次 1、健康で明るい生活を送るためには
  2、睡眠について
  3、不眠
  4、睡眠薬について
  5、睡眠薬の依存について

 

(1) 健康で明るい生活を送るためには
健康で明るい生活を送るためには、質のよい睡眠が必要です。
ある調査では4人に1人が睡眠になんらかの問題をかかえているとも言われています。
快眠を得るためには生活習慣の改善が第一ですが、現代社会で規則正しい生活を送るのも、なかなか難しいと思います。
不眠による集中力、記憶力の低下は生活の質を低下させます。

今回は睡眠のメカニズム、不眠の原因、治療についてまとめました。
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(2) 睡眠について
睡眠の種類

睡眠の種類には、レム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)の2種類があります。
レム睡眠には、脳からの運動の指令を完全に遮断し、筋の緊張をほぐして運動器を休める役割があると考えられています。
ノンレム睡眠には、主に脳を休める役割があると考えられています。
よって、睡眠中には、脳も運動器も両方とも休んでしまうことはなく、片方ずつ休めるようになっています。

睡眠のメカニズム

睡眠を積極的に引き起こすメカニズムが2つあることがわかってきました。
1、 恒常性維持機構
深いノンレム睡眠の間にはホルモン(成長ホルモン、性腺ホルモンなど)が分泌され、子供では身体の成長に、成人では疲労回復や修復機能に大きな役割を果たしています。
2、 体内時計機構
ヒトや動物は、およそ24時間の規則正しい睡眠‐覚醒リズムが認められます。また睡眠と覚醒だけでなく、体温、血圧、脈拍などの自律神経系や内分泌ホルモン系、免疫、代謝系なども体内時計によって約1日のリズムを刻んでいます。

実際には、恒常性維持機構と体内時計機構の2つのメカニズムが密接な相互作用をもちながら、睡眠と覚醒のサイクルを作り出しています。動物やヒトの基本的な状態は睡眠であるといえます。睡眠中には身体を休ませると同時に積極的に疲労を回復させ、また体内時計をしっかり機能させることによって、日々健康を維持し、昼間に活動しやすい状態を作っています。

睡眠剤を服用して『1日8時間』の睡眠時間は誤解!

眠る準備ができてから睡眠剤を服用することで、はじめて睡眠剤は効果的に使え、前向性健忘などの副作用も防ぐことができます。よって睡眠に対する正しい知識が必要になります。以下に睡眠障害対処の12の指針を示します。

 

(1) 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
  ・8時間睡眠にこだわらない
(2) 刺激物を避け、寝る前には自分なりのリラックス法
  ・就床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避ける
(3) 眠たくなってから床に就く、就寝時刻にこだわり過ぎない
  ・眠ろうとする意気込みが寝つきを悪くする
(4) 同じ時刻に毎日起床
  ・早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じる
(5) 光の利用でよい睡眠
  ・夜はあかる過ぎない照明を
(6) 規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
  ・朝食は目覚めに重要、夜食はごく軽く
(7) 昼寝をするなら、15時前の20〜30分
  ・夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響
(8) 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
  ・寝床で長く過ごすと熟眠感が減る
(9) 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
  ・不眠以外の疾患が隠れていることも
(10) 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門家に
   ・長時間寝ても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談
   ・車の運転に注意
(11) 睡眠剤代わりの寝酒は不眠の元
  ・寝酒は中途覚醒の原因につながる
(12) 睡眠剤は医師の指示で正しく使えば安全
  ・アルコールとの併用をしない
  『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』より抜粋

過剰に良い眠りを求めても意味がありません。生活が変われば、多少の睡眠時間が短くても以前の生活リズムに戻すことで総合的な満足度は上がってきます。
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(3) 不眠
不眠の症状は4つのタイプに分けられます。

入眠障害
  寝ようと思って布団に入っても寝つきが悪く、なかなか眠れない。
中途覚醒
  夜中に何度も目が覚めてしまい、そのあと再び寝つくのが難しい。
熟眠障害
  睡眠時間をたっぷりとったつもりでも、ぐっすり眠った感じがしない。
早朝覚醒
  朝早く目が覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れなくなってしまう。

不眠の原因を探っていくと5つの要因がある事がわかります。

1 生理学的不眠(トイレに行くために目を覚ますなど)
環境の変化、寝室の騒音、温度、湿度など、睡眠環境としてふさわしくない生活環境。
2 心理学的不眠(何か悩みなどがあるために眠れない)
ストレス、精神的ショック、生活上の不安などがある時。
3 精神医学的不眠(ノイローゼ・うつ病などにより眠れない)
うつ病、神経症、統合失調症など、すべての精神疾患で不眠が発現します。
4 薬理学的不眠(コーヒーを飲んで目がさえて眠れない)
アルコール、たばこ、降圧薬、ステロイド、甲状腺剤などが原因となる事があります。
5 身体的疾患に伴う不眠(体のどこかに痛みがあるために眠れない)
痛み、かゆみ、発熱、喘息発作などによるものです。
不眠をきたす代表的身体疾患
* 心疾患―狭心症、心不全など
* 呼吸器疾患―気管支喘息、睡眠時無呼吸症候群など
* 消化器疾患―胃潰瘍、逆流性食道炎など
* 内分泌代謝疾患―甲状腺機能亢進症、クッシング症候群など
* 脳神経障害―脳血管障害、パーキンソン病など
* 皮膚疾患―アトピー性皮膚炎など
* 睡眠関連運動障害―周期性四肢運動、むずむず脚症候群RLSなどに分類できます。
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(4) 睡眠薬について
不眠の治療

不眠の治療としては、まず原因となる疾患(前述)の治療を行います。
その他、睡眠に対する知識(前述)を得て、環境の整備をします。

それでも不眠に対する恐怖により苦しんでいたり、日中の眠気により日常生活に悪影響があるようなら、睡眠薬を使います。

睡眠薬の種類

現在睡眠薬の種類は大きく4つにわけられます。
(1) ベンゾジアゼピン系
(2) 非ベンゾジアゼピン系
(3) バルビツール酸系
(4) 非バルビツーツ酸系
です。
現在は副作用や依存、耐性の問題により、主に用いられているのはベンゾジアゼピン系(BZ系)、非ベンゾジアゼピン系(非BZ系)です。
この両者はほぼ同様の薬理作用であるので、BZ系睡眠薬としてまとめることができます。
BZ系薬剤は睡眠作用以外にも、抗不安作用、抗けいれん作用、筋弛緩作用などがあります。

これらBZ系、非BZ系薬剤は耐性や依存を生じにくく(後述)、安全性の高い薬剤です。

薬剤の選択

BZ系睡眠薬は作用時間の違いにより
(1) 長短時間作用形
(2) 短時間作用型
(3) 中間作用型
(4) 長時間作用型
にわけられます。

(1) 超短時間作用型
作用時間が2〜4時間と極めて短い薬剤です。
寝つきをよくする作用があり、翌朝の覚醒時には効果がきれているため、目覚めはよいです。おもに入眠障害に用います。
(2) 短時間作用型
作用時間が6〜10時間です。
朝方には作用を発揮するだけの効果は残ってないと思われますので、ほぼ超短時間作用型と同様です。
(3) 中間作用型
作用時間が20〜30時間です。
翌朝の起床時にはある程度効果が残っていることがあります。朝の覚醒時に眠気、頭重感、ふらつきなどが起こることがあります。中途覚醒や早朝覚醒、熟眠障害のタイプに使われます。
(4) 長時間作用型
作用時間が36時間〜100時間であり、翌朝の覚醒時に影響を及ぼす可能性があります。
半面、抗不安作用も強いので、うつ病などの精神疾患にみられる不眠に使われることが多いです。

薬剤服用上の注意点

(1) 睡眠薬を服用したら、眠気の有無にかからず床につくようにしましよう。
(2) 自己判断で量を増やさないでください。
(3) 服薬中は眠気、ふらつき、頭痛、注意力低下などが起こることがありますので注意しましょう。
(4) アルコールとの服用で作用の増強、物忘れが起こることがありますので、睡眠薬服用時にはアルコールは飲まないでください。
(5) 自己判断で中止すると不眠となることがありますので、現在服用していて、中止を希望している方は医師に相談してください。睡眠を妨げていた要因がなくなり、気がつけば睡眠薬を飲み忘れても熟眠できていた、となれば止めどきかもしれません。
(6) 睡眠薬服用中でも規則正しい睡眠リズムが確立できるよう心がけてください。
(7) 高齢者、肺、気管支疾患のある方は呼吸抑制に注意して下さい。
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(5) 睡眠薬の依存について
睡眠薬の服用と言えば、『やめられなくなるのでは』、『続けて飲んでいるうちに段々効かなくなって、どんどん量が増えてしまうのでは』という不安がよく聞かれます。

『やめられなくなる』という状態は精神依存、身体依存の双方を表しています。
一方、『効かなくなって量が増える』ということは耐性という現象です。

精神依存とは快感を求めたり、不快感を避けるためある薬物を持続的に用いる状態をいい、「自分でやめようと思ってもやめられない」ブレーキの聞かない状態をいいます。簡単に言えば「薬がないと不安」という状態です。

身体依存とは実際にやめようとコントロールすることで、体に異常を生じてしまう状態を指します。例えば、薬を急に止めることで動悸や手のふるえなどの症状が現れてしまうことです。これは、ある薬を長期に服用した際にその作用に対して体が適応した状態から、急激に崩れることによって生じる現象と説明できます。そのため自分の判断で中止せずに、医師との相談で中止していくことが求められます。

かつての睡眠薬は依存や耐性が強く、中枢の呼吸抑制が起こるなど負のイメージが強かったですが、現在、主流の睡眠薬は睡眠をつかさどる所に作用し、安全性が高いものになってきてます。
しかし、ほとんどの場合に耐性は形成されないのですが、長期服用による精神依存、身体依存が形成されてしまうことは事実として存在します。

精神依存は不眠による苦しみを最低限の用量で服用することにより、満足の睡眠ができているのなら問題ないと思います。
身体依存はゆっくりと減量していく、あるいは軽い薬剤に変更するという方法を行うことで依存を解決していけるといわれます。

まとめとして、できるだけその使用が長期に及ばないようにする努力と用量を抑える工夫を行えば、最低限の用量の継続については、言葉の定義に従って依存と呼ぶ必要はないかもしれないです。
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