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vol.28 健康診断
目次 01、はじめに
  02、血圧測定
  03、血液検査
  04、尿検査
  05、便検査
  06、細胞診
  07、生理機能検査
  08、感覚器の検査
  09、その他の検査
  10、画像検査

 

(1) はじめに
今回は「健康診断」についてとりあげてみました。健康診断は、特に自覚症状のない人が、自分の健康状態を知って生活習慣病を予防したり、隠れた病気を発見するために行われます。健康診断の大切さを理解し、1年に1回は受けるようにしましょう。主な検査項目や基準値、検査法などを簡単にまとめてみましたので参考にご覧ください。
検査法 検査項目 基準値 単位 調べる目的
身体計測

身長

 

cm

肥満・やせ

体重

 

kg

BMI(体格指数)

18.5〜24.9

 

腹囲(ウエスト周囲径)

 

cm

血圧測定

収縮期血圧(最大血圧)

140未満

mmHg

血圧

拡張期血圧(最小血圧)

90未満

血液検査

 

 

白血球数

3500〜9800

/μl

貧血など

赤血球数

男:440〜560
女:380〜520

万/μl

血色素量(Hb)

男:13〜17
女:12〜15

g/dl

ヘマトクリット

男:42〜45
女:38〜42

血小板

15〜40

万/μl

空腹時血糖

60〜110

mg/dl

糖代謝(糖尿病)

食後血糖

70〜140

mg/dl

HbA1c

4.3〜5.8

総ビリルビン

0.2〜1.0

mg/dl

肝機能

総タンパク

6.5〜8.0

g/dl

アルブミン

3.7〜5.7

g/dl

A/G比

1.6〜2.5

 

ZTT

4.0〜12

TTT

0〜5.0

ALP

110〜360 (JSCC法)

IU/l

GOT(AST)

10〜40

IU/l

GPT(ALT)

5.0〜40

IU/l

LDH

110〜220 (JSCC法)

IU/l

コリンエステラーゼ

200〜450

IU/l

γ‐GTP

10〜45

IU/l

総コレステロール

150〜220

mg/dl

脂質代謝
(高脂血症)

中性脂肪

30〜150

mg/dl

HDLコレステロール

40〜65

mg/dl

LDLコレステロール

73〜139

mg/dl

尿素窒素

7.0〜18

mg/dl

腎機能

クレアチニン

男:0.7〜1.2
女:0.5〜0.9

mg/dl

尿酸

男:4.0〜7.0
女:3.0〜5.5

mg/dl

血中アミラーゼ

60〜200

IU/l

膵機能

血清鉄

男:60〜200
女:50〜160

μg/dl

貧血

HBs抗原

陰性

 

肝炎ウイルス感染

HCV抗体

陰性

 

尿検査

タンパク

(±)

 

腎機能

潜血

(±)

 

腎機能

(±)

 

糖代謝

ウロビリノーゲン

(±)

 

肝機能

便検査

潜血

(±)

 

大腸

喀痰検査

喀痰細胞診

 

 

肺がん

心電図検査

安静時心電図

 

 

心臓

眼科系

視力検査

 

 

眼圧検査

 

 

眼底検査

 

 

その他

乳房の視触診

 

 

乳がん

マンモグラフィー

 

 

乳がん

子宮頚部細胞診

 

 

子宮頚ガン

直腸診

 

 

直腸、前立腺

骨量診

 

 

骨密度

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(2) 血圧測定
血圧の測定は座った姿勢で測ります。収縮期血圧(最大血圧)と拡張期血圧(最小血圧)を測定し基準値と比べ高血圧の判定を行います。高血圧と判定された場合でも原則として1回の測定では病気と診断されず、日を改めて再検査を行います。

(測定方法)
カフ(空気が入るゴム袋を入れた帯)と聴診器を用いる「コロトコフ法」が一般的です。上腕に巻いたカフの圧力で動脈の血流を止め、徐々に圧力を下げながら、血流が再開し脈拍の音が聞こえ始めた時の圧力「収縮期血圧」と脈拍の音が消えた時の圧力「拡張期血圧」を測ります。
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(3) 血液検査
血液検査では血液の状態(貧血など)、糖代謝、脂質代謝、肝・膵機能、尿酸代謝、腎臓・尿路系機能、炎症、感染、腫瘍マーカーなどが分かります。血液検査は採血前の食事の影響を受けやすい為、注意が必要です。

1.血液一般検査
赤血球数、白血球数、血小板、ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤沈やCRPなどの炎症反応を調べる検査です。

2.血液生化学検査
血液の液体成分である「血清」には糖質、たんぱく質、脂質、酵素、電解質、ホルモンなど各臓器から出た様々な物質が溶け込んでおり、そうした物質の量を化学的に分析して調べる検査です。

3.免疫・血清学的検査
病原体に対する「抗体」などの有無や種類を調べることで、ある種の病原体の感染を調べます。「梅毒血清反応」や「肝炎ウイルスマーカー検査」などがあります。

4.腫瘍マーカー
体内に癌が発生すると増える特殊なたんぱくを調べます。
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(4) 尿検査

腎臓や膀胱の異常、糖尿病、肝臓病、膠原病、骨髄腫、悪性腫瘍などの発見が目的です。

尿検査は一般検査の中心で、尿中の各種細胞、たんぱく、糖などによって体の基本情報を探る検査です。腎臓が、血液によって体中から運ばれてきた不用物を余分な水分とともに排泄するのが尿であり、したがって、体のどこかに異常があると、排泄されるべきものが排泄されていなかったり、排泄してはいけないものが尿に混じったりします。検査前にビタミンCを多く摂ると、潜血反応が出ないことがあるので注意してください。また、女性は月経中の検査は避けます。
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(5) 便検査
消化管に出血があると、便がそこを通る時に便の中に血液が混ざって出てきます。ごくわずかな出血の場合、肉眼では識別できません。よってこの検査は目に見えない出血を発見し、大腸がんなどの発見に役立ちます。
健康診断では、主に大腸がんのスクリーニングを目的に、消化管での出血がないかを調べる便潜血反応検査が行われています。日を替えて2回便を採って調べる方法が一般的です。
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(6) 細胞診
人の体から採取した細胞に癌があるか発見することが目的の検査です。
痰、粘膜などを採取し、異常な細胞がないかを調べる検査です。健康診断で行われるのは、肺がんを見つけるための喀痰細胞診や、子宮頚がんを見つけるための子宮頚部細胞診などがあります。
喀痰細胞診では、起床直後の痰を採って、その中に含まれる細胞を調べます。
子宮頚部細胞診は、婦人科医が内診の際に子宮頚部の粘膜をこすり取って調べます。
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(7) 生理機能検査
検査機器を使って体外から循環器や呼吸器などの機能を調べる検査で、健康診断では主に次の検査が行われます。

1.心電図検査

心臓で生じる電気信号をとらえて、不整脈など、心臓の機能の異常を見つける検査です。ベッドに寝て調べる「安静時心電図検査」が基本になっています。

2.肺機能検査

肺の機能には主に、空気を出し入れする「換気機能」と、酸素と二酸化炭素を交換する「ガス交換機能」がありますが、健康診断では、主に、「スパイロ検査」で換気機能を調べます。肺気腫、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの発見に重要です。

(スパイロ検査)
スパイロメーターという機器を使用し、肺活量と息を吐く時の空気の通りやすさを調べる簡便な検査です。
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(8) 感覚器の検査
健康診断では、目の検査として「視力検査、眼底検査、眼圧検査」などが、耳の検査として「聴力検査」が行われます。

1.視力検査
視力検査は、ものが見えにくい、二重に見えるなどの症状があるときに、最初に行われる基本的な検査です。角膜を通して目に入ってきた光が、レンズの役割を果たす水晶体で屈折し、さらに硝子体を通過して、網膜にきちんと像を結び、その情報が正確に脳に伝えられているかを調べます。
視力の異常は、水晶体の屈折異常(近視、乱視、遠視)、水晶体のにごり(白内障)、網膜の異常(眼底出血、網膜はく離)、角膜の変化(角膜炎、角膜ヘルペス)などで認められますが、視力検査でわかるのは、近視や乱視などの水晶体の屈折異常のみで、ほかの病気の診断まではできません。そこで、目に異常を感じたら、まず視力検査を行い、その後に別の検査を行って診断することになります。

2.眼底検査
眼底検査とは、瞳孔の奥にある眼底を、眼底カメラや眼底鏡という器具を用い、レンズを通して観察し、眼底の血管、網膜、視神経を調べる検査のことです。網膜はく離や眼底出血、緑内障などの目の病気を調べるときに行います。
なかでも、緑内障が疑われる人の発見が重要です。日本人の場合は、眼圧が正常範囲内でも視神経障害が起こる「正常眼圧緑内障」が多いので、この病気を早期発見するためには、眼底検査における視神経乳頭の所見が決め手となります。
また、眼底の血管は人間の体の中で唯一、直接血管を観察できる部位のため、そこを観察すると動脈硬化、脳腫瘍、高血圧などの全身の病気が推察でき、生活習慣病の検査としても有効です。

3.眼圧検査
眼圧検査とは、房水という液体によって保たれている眼球内圧(眼圧)を測定する検査です。眼圧は、健康な目でほぼ一定ですが、房水の生産量と流出量のバランスが崩れると変動します。眼圧の変動は目の異常を知る重要なてがかりです。特に、緑内障を調べる際には、必ず行われる検査になります。
眼圧の高さで、高眼圧症(視神経や視野には障害はないが、眼圧が慢性的に高い)や、緑内障(視野に欠損がみられる)、網膜はく離、虹彩毛様体炎などの目の病気にかかっているかどうかを調べることができます。

4.聴力検査
音は空気の振動で、音波として外耳道に入って鼓膜を振動させ、耳小骨から内耳に伝えられます。さらに内耳では前庭や三半規管と呼ばれる器官から神経により脳に伝えられます。
聴力検査とは、外耳から耳小骨までの間に原因がある伝音難聴や、内耳から脳までの間に原因がある感音難聴の有無を調べる検査です。伝音難聴は中耳炎などが、感音難聴は先天性難聴、耳下腺炎、ウイルス感染症、聴神経腫瘍などが原因となります。
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(9) その他の検査
乳がん検診としての「乳房の視触診」、婦人科の病気を診る「内診」、前立腺がんや直腸がんの発見に役立つ「直腸指診」なども、健康診断として行われています。骨粗鬆症を見るけるための「骨密度の検査」もあります。
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(10) 画像検査
1. エックス線検査

造影剤を使わない「単純エックス線撮影」は、肺や骨などを調べるのに有効で、最も一般的なのが、「胸部エックス線検査」です。乳がん検診として行われる「マンモグラフィ」も単純エックス線撮影の1つです。
エックス線を照射しただけでは写りにくい臓器や血管などを調べるには、造影剤を使った「造影エックス線撮影」が行われます。消化管の検査ではバリウムを造影剤として用い、胃を調べる「上部消化管エックス線検査」や、大腸を調べる「下部消化管エックス線検査」が行われています。
そのほか、治療を前提にした精密検査としては、ヨード系の造影剤を血液中に注入して、心臓や血管、尿路などを調べる造影エックス線撮影も行われます。

(造影剤について)
エックス線(レントゲン)写真を撮る時に、写真にコントラストをつけて病変をより鮮明に写し出す為に体の中に造影剤を入れることがあります。造影剤にはエックス線を通すものとエックス線を通さないものがあり、後者にはバリウムとヨードがあります。

(バリウムについて)
バリウムはおもに消化器(食道・胃・十二指腸・大腸など)の検査の時に、空気や炭酸ガス(発泡剤)などと一緒に口から飲んだりカテーテルという細い管から注入したりします。バリウムの安全性は高く副作用はありませんが、長い間、体に残っていると便秘を起こすことがあります。

(ヨード造影剤について)
ヨード造影剤は血管に注射して使います。CT(コンピュータ断層撮影検)では、脳をはじめとして全身の臓器の検査に用います。また、腎臓などの病気を調べるエックス線検査にも使われます。ヨード造影剤の安全性もバリウム同様きわめて高いものですが、まれに注射後、吐き気、蕁麻疹などが出ることがあります。このような副作用はヨードに対するアレルギーによるものの可能性が高く、喘息などアレルギー疾患のある方に、副作用の出る頻度が高いと言われています。

「上部消化管エックス線撮影」
食道や胃・十二指腸に病気があると、形が変わったり、動きが変化したりします。バリウムを飲むと消化管の内壁に付着して、病変部分の形状が写し出されてきます。そのため、食道や胃・十二指腸の潰瘍や癌、胃壁の荒れ(胃炎)の診断に役立ちます。

「下部消化管エックス線撮影(注腸造影)」
造影剤のバリウムを肛門から大腸に注入して、大腸のエックス線写真を撮る検査法です。大腸に病変があると、便の回数が増える、便秘と下痢を繰り返す、便の性状が変わる(軟便、便に血が混じる、黒色便、粘液が付着する)など便通の異常やお腹の痛みが現れます。これらの所見だけでは病状の診断がつきません。単純エックス線検査や超音波、CT検査では腸の粘膜の細かい異常は分かりませんが、下部消化管エックス線撮影を行えば、粘膜の様子や通過障害が良く分かります。

「経静脈性尿路造影」

腎臓から膀胱までの尿路のエックス線写真を撮る検査法です。静脈からヨード造影剤を注射すると、血液に入った造影剤は腎臓から排泄されて膀胱に溜まっていきます。この過程を数分ごとに数枚のエックス線写真を撮って調べます。腎臓の機能や、腎臓、尿管、膀胱の形態的な異常を見つけるのに役立ちます。

2.超音波検査

通常「エコー」と呼ばれている検査です。超音波は人の耳には聞こえない高い音で、人体にあてると組織の境界や結石、腫瘍などにあたって戻ってきます。この戻ってきた音の強さの違いを画像として映し出して行う検査です。心臓や肝臓・胆嚢・すい臓などの腹部の臓器、乳腺・甲状腺など体表に近い臓器、さらに泌尿器(腎臓・膀胱、前立腺)、産婦人科(子宮、卵巣など)と多くの領域が対象となります。ただし、骨や空気を含む臓器(肺・胃・腸)は音が伝わらないので検査できません。
超音波検査ではエックス線検査のように静止した画像ではなく、動く画像が得られるので、心臓の動きや血液の流れなどを観察するのに適しています。また、超音波を出す機械を動かして自由に多方向からの画像を得ることができるので、病変の立体的な位置関係を把握するのに有効です。

3.CT(コンピュータ断層撮影)検査

CT検査が一般のエックス線検査と違うところは、CTで得られる画像が体を輪切りにした状態の断面の画像だということです。これによって臓器や組織などの重なりが避けられ、画像自体も一般のエックス線写真より鮮明なものが得られます。体を傷つけないで臓器の形や大きさ、まわりの組織との関係を観察することができるため、体のほとんどの部分を検査できます。特に臓器の炎症、出血、腫瘍などの診断に優れています。また、複雑な骨折、肺やすい臓などの小さな癌の発見などに威力を発揮します。検査する部位によっては造影剤が必要になることもあります。

4.MRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査はエックス線を使わずに体の内部の状態を観察する検査法です。強い磁場を発生する大きな磁石で囲まれた装置の中に入った患者さんに電波を照射して、体の内部を観察し、病気の有無や性質、状態をみます。MRI検査はCT検査同様、身体の深部をより詳しく観察するために行います。全身の臓器の検査が可能ですが、とくに脳、脊髄、腹部臓器、脊椎などの検査に優れています。CT検査同様、臓器の状態や病気の状態をより正確に観察するために造影剤を使用することがあります。磁気を使用していますので、体内にペースメーカーや血管クリップなどが入っている人は検査を受けられない場合があります。

5.RI検査(シンチグラフィー)

放射線を放出する薬剤を体内に取り込ませて撮影する検査法です。放射線を出す薬品を注射したり、服用すると、一定時間後に目的とする臓器に放射性物質が集まってきます。その臓器から出される微量の放射線をカメラで撮影することによって臓器の形や働きを評価します。この検査の主な目的は、臓器の形・機能・血流を調べることです。また、腫瘍や炎症が体の中にあるかどうか調べるのにも用いられます。よく検査される臓器は、骨、甲状腺、副腎、心筋、腎臓などです。放射線を出す薬品を使用しますが、副作用の心配はありません。検査で体に受ける放射線の量は通常のエックス線撮影と同じ程度かそれ以下です。また投与された放射性医薬品の放射能は時間とともに少なくなり、体外にも排泄されてしまうので、身体への影響についても心配はありません。

6.内視鏡検査

内視鏡は細い管状の医療器具で、体の内部を直接観察できるのが特徴です。機械の先端から器具を出して病変部の組織を採取し検査したり、状況によってはポリープを切除したり治療を行うこともできます。健康診断としては、主に癌の発見を目的に、人間ドックや集団検診で異常が疑われた場合の精密検査として胃や大腸の内視鏡検査が行われます。
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